慶應普通部社会入試傾向

試験時間は30分。100点満点。解答用紙は変形A3版。幅はほぼA4の縦と同じ。解答を書く欄によって長さは毎年、いろいろですが、解答を書く場所は50個以上ありますから、結構忙しい問題でしょう。

大問は5~6題。例年地理と歴史で大問2題ずつ。残りが公民と現代社会という割合で、やはり地理と歴史の比重が高い出題といえます。

地理に関しては地図に関する主題が比較的多く、また各校で最近減少しているある地方に集中した問題も出題されます。特に河川や山脈、山地などは単に知識として覚えるだけでなく、それがどの場所にあるのかも十分に確認してください。また地図の読み取りも良く出題されます。地図記号や等高線、など他校の類題も合わせて練習すると良いでしょう。また注意しておきたいのが鉄道や道路です。つい、覚えるとなると川の名前や平野の名前になってしまいますが、鉄道がどこを走っており、例えばある鉄道から見たときこの山脈はどちら側に見えるのか、なども考えておきましょう。

ただ、知識の細かさはそれほどでもなく、頻出する内容がほとんどです。ただし、現代社会に関する出題は年々増加しており、注意が必要です。秋以降、時事問題の整理はしっかりしておきましょう。

解答形式は選択式、単語解答がほとんどです。記述は1~2題程度で、それほど長くはないので、用語解答と大きく変わりはありません。

歴史の特徴として、やはり江戸幕末から明治にかけて、慶應創立のころの問題が比較的出題されやすく、また福澤諭吉に関する問題も少なくありません。まずはこの時期を集中して勉強しておくと良いでしょう。

世界地理については、歴史や現代社会の問題としてたまに出題されることがあります。話題になったときに地図を見て位置を確認する、という作業はつねにしておくと良いでしょう。

対策としては、まずしっかり過去問をやりこむこと。そうすると、良く出題される範囲がわかってきますので、その知識をまず正確に覚えること。また同様のテーマを他校の入試問題からピックアップして練習してみると良いでしょう。

中学入学試験問題集 2013年度受験用 社会編―首都圏有名国立・私立中学校173校全問題収録

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体力消耗に気を付けて
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みんな同じ?
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慶應普通部理科入試傾向

普通部の理科の特徴はなんといっても生物関係の出題でしょう。

普通部の理科教育においてフィールドワークが重要視されていることから、これに関する出題が多くなっています。受験参考書にあまりのっていない生物が問題になることがあり、図鑑などを見ておく必要があります。また観察眼という視点での問題が多いので、スケッチなども要求されます。したがって、単に知っているだけでなく、どう表現するかも考えておかなければいけなません。

しかし出題は生物だけに限られることではなく、これ以外にも天体や地学範囲の問題が多くなっています。逆に力や水溶液などの計算問題は、それほど多くはありません。

試験時間30分で100点満点。かなり忙しい試験といえます。近年大問5〜6問程度。1問5分程度で解答をしていかなければなりません。選択式の問題が多いものの、スケッチ、記述など解答形式もいろいろあるので、勉強はまず過去問をしっかりやりながら、出題の形式に慣れることでしょう。

出題に特徴があるため、生物に関する関心が高いことは有利になります。実際に自分で生物を飼っているなどの経験はプラスになるでしょう。また、調理に関する問題が出題されることがあります。カレーライスの作り方、調味料の問題など、理科の内容を聞く問題ではあるものの、多様な生活体験を求めています。例えば野菜を切ったときの断面、実のなり方など身近な野菜や果物を観察したことがあるかどうかを問われたりしていますので、十分注意が必要でしょう。

過去問がある程度終わったら、他校の生物の問題だけを電話帳から取り出して、勉強していきながら生物の知識を増やしていくと良いでしょう。

生物にとどまらず、基本的な知識からいろいろ発展して考えさせる出題が多い学校ですので、「あ、知らない」とあきらめるのではなく、何かヒントがないか、粘り強く考えていく姿勢を身につけることが大切です。

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速さの問題
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過去問を2段階で解く
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慶應普通部国語入試傾向

試験時間40分で、大問3問が例年の形でしょう。読解大問2題。知識1題。知識はほぼ漢字の書き取りに限られるといっても良いかもしれません。文章の長さによっては3題目の問題を用意する場合があります。

読解は物語文1題。説明文1題。共に小問10題。20字~50字程度の記述問題が数問含まれますが、中心は選択問題、書き抜き。記述は決して長くはないので、その分要点を簡潔にまとめる素養が必要になります。ポイントを押さえ、端的に答える工夫が必要です。問題文はそれほど難しい文章ではないが、選択肢については紛らわしいものもあり、本文の内容と照らし合わせて根拠を見つけることが必要でしょう。

漢字の書き取りの難度は、標準的と言えるでしょう。それほど細かな出題ではありません。

物語文については、場面の理解、登場人物の心情理解が必要なので、まず過去問で出題傾向をつかみ、類題の演習をていねいにやる必要があるでしょう。

全体として答えの形が決まっている問題、つまり適語選択や選択肢、書き抜きが多いため、点数はまとめやすいと思います。70点ぐらいが合格の目安といえるでしょう。

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解答のない教科書
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合格点の取り方を考える
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慶應普通部算数入試傾向

試験時間は40分。 大問8~9題程度。解答用紙は記述式で、普通のA3版よりもやや大きい解答用紙が用意されています。

1問の解答欄の幅は13.5㎝程度。
高さは問題によって異なりますがだいたい6㎝から7㎝。
解答を書く欄は指定されていますので、その上の空白部分に式や計算を書きこむことになります。

40分で8題とする1問5分。したがって1問15分程度の男子御三家レベルの問題に比べると3分の1ですから、問題の難度はそれほど難しくはありません。
逆に8題から9題ということは、ほぼ各テーマが万遍なく出されるということなので、不得意な範囲をつくらないということがまず大事なポイントでしょう。

40分という試験時間の中で合格点は7割近くと推察されることから、確実に得点する能力が求められます。解答用紙の指示としては

1 答えは解答用紙の答えのらんに書きなさい。
2 解答用紙に、途中の計算式などを必ず書きなさい。

となっているので、単純に答えだけがあっていれば良いという問題ではないでしょう。

出題分野としては、計算問題2題。比と割合、速さ、場合の数、規則性、数の性質、平面図形、立体図形の分野から出題されていますが、先日説明した推理の問題なども出題されています。

対策としては、まず各分野の基本をしっかりさせることです。男子御三家のような問題ではないが、逆に幅広く出題されますから、ある程度どの分野でも対応できるようにすることが第一。
次はやはりていねいさでしょう。決して難しい問題ばかりではないので、逆にミスをすると差をつけられてしまいます。丁寧に確実に得点をしていく技量が求められるので、特にこれからは正確に解いていくくせをつけていきましょう。

計算も解答用紙に書き入れますので、日ごろから式や計算をノートにていねいに書くように心がけてください。
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寮のある学校
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この週末は大変なんだ・・・
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推理する問題

平成21年度普通部算数8番です。


A、B、C、D、E、Fの6人が3人ずつ向い合せに座りました。座り方について、この6人が次のように説明しました。

A:僕は端に座った。
B:A君は僕から見て正面の右どなりにいた。
C:僕はE君の正面に座った。
D:僕から見て向かい側の左端にF君が座っていた。
E:C君はF君と同じ側に座っていた。
F:僕はB君とは向かい合わせではなかった。

AからFの座席を図に書きこみなさい。(答えだけで良い。)


だれもウソを言っていないので、まだいいかなとは思いますが、しかし、どこから始めればいいでしょうか。

まず同じ側か向かい側かの情報を集めてみましょう。

A君とB君は反対側。C君とE君も反対側。C君とF君は同じ側。F君とB君は同じ側。

ということは

B君とF君とC君が同じ側で、残りA君とD君とE君が同じ側になります。

次に位置の情報を考えてみましょう。

A君とB君の発言から2人の位置をまず決めてみます。

次にD君の発言から、A君とD君は同じ側ですから、F君の位置が決まります。

次にE君の発言から、対面があいている席は1つしかないので、C君とE君の席が決まります。

最後にD君の位置を入れて、これで完成です。

A君の位置が右下にくれば、下の図でも正しいことになります。

同じ側か、反対側か、だけに注目してみると結構情報が多いので、ここが切り口になったでしょう。

この手の問題はクイズみたいな感じですが、しかし、比較的良く出題されることがあるので、練習しておきましょう。
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4年後期
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スムーズに後期へ
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慶應湘南の女子

息子が普通部から湘南へ進むための保護者説明会に出ていたときのこと、湘南の先生から
「普通部からくる諸君には、やはり男子の活発さ、元気さというものを期待したい。」
という話があって、ああ、そうなんだろうなあ、と思っていました。

中等部も共学ですが、中等部の場合は男子と女子の比率が違います。中学での募集は男子が約140名、女子が50名。およそ3:1。幼稚舎の女子がほとんど中等部に来るのに対して男子は普通部に行くことが多いので、バランスをとるのですが、それでも男子は女子の約2倍という構成になっています。

しかし、湘南の場合は中学からの入学者がほとんどで、しかも男子:女子が1:1になります。

この時期の男子と女子を比較すると明らかに女子の方が精神年齢は高い。かつ、慶應の偏差値から見れば女子の方が難しい。2:1でも女子が強い、などと言われる中等部のことを考えると、湘南は最早、明らかに「女性上位」の世界であることは間違いない。

だから男子校である普通部からくる生徒が刺激になるか、というと残念ながらあまりそうではない。そんな、生半可な強さではありませんし、また、こういう年頃の男子校育ちぐらい、女子に対してか弱いものはないわけで。

では湘南の男の子はだめなのか、といえば、当然そうではありません。そういう中でもしたたかに、自分の個性を磨いている。だからむしろ、これからは活躍するんじゃないだろうかと思います。

「強い女性の上司が出てきても、柔軟に対応できる」個性はなかなかのものです。

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4年生の夏休みに分数と小数の計算を練習しよう
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がまんできない子
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慶應内の志望順位

昔、普通部と中等部だけだったころ、男子はどちらかにしか合格しませんでした。普通部か中等部、どちらかに振り分けられて重複合格というのがなかったのですが、現在は、湘南もあり、男子だと3校、女子でも2校、重複合格することが可能です。

ある男の子が慶應普通部と慶應湘南に合格しました。家は明らかに湘南に近いので、私はてっきり湘南に進学するのだろうなと思っていたのですが、いざ、手続きになった段階で彼は普通部を選んだ。

「え、湘南の方が近いんじゃないの?普通部までどのくらいかかるっけ?」
「1時間半かな。」
「湘南は?」
「30分ぐらい。」
「なのに普通部?」
「はい。」
「そうか、女の子きらいなんだ。」
「違いますよ! 先生。」
「え、そうなの?じゃ、なぜ?」
と聞いてみると、しばらくもじもじしていたが、
「あの、労作展やってみたい。」
と返事が返ってきました。
「なるほどねえ。じゃ、高校は?」
「それは湘南にするかもしれない。」
湘南に進むと高校は湘南しか行けませんが、普通部、中等部は慶應諸学校のすべての高校を選ぶことができます。
「なるほど。いいんじゃない。がんばって。」
と声をかけました。

私なんかからすると、同じ慶應だから、どこへ行っても同じ、とつい思いがちなのですが、結構、子どもたちはこだわりがあるようで、これも勉強するエンジンになっているようです。

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金属の計算問題
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ある女子校の決断
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自由研究と労作展

夏休みも残り少なくなってきて、そろそろ学校の自由研究をどうしよう、と考えられているご家庭も多いかもしれません。

普通部生もそろそろ、労作展の作品をがんばらないといけない時期になりました。

すでに一応何をするのか、は学校に報告しているので、それを作っていく、完成していくわけですが、労作展まであと約1か月。

中2、中3になってくると、まあ、それなりのペースはつかんでいるものの、しかし、どうしても最後は突貫工事になりやすい。これはどこでも同じことです。

最初は壮大なテーマであったり、凝ったものを考えていたのが、進んでいくうちに、「ま、いいか」が重なり、少しずつ本人のイメージから遠のいていく。

それでも最後までしっかり頑張る、ということでこの夏の作品ができあがってきます。

中1は家族総出でやっているとは思いますが、中2、3もそろそろエンジンを書けないと間に合わなくなるころ。

1年前の自由研究と結局は、まあ同じことになっていそうですが。

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平面図形の問題
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解答用紙と計算用紙
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調味料の問題

平成21年の普通部の問題です。

次の(サ)~(タ)の調味料を使って実験をしました。

(サ)白砂糖
(シ)食卓塩
(ス)米酢
(セ)醤油
(ソ)みそ
(タ)ごま油

実験1 ぬるま湯を8分目まで入れた6つのガラスのコップに、それぞれ小さじ1杯の調味料を入れてよくかき混ぜた。

実験2 6つのなべにそれぞれ大さじ1杯の調味料を入れ、ガスコンロで加熱した。

1 実験1でかきまぜた後も、ぬるま湯だけのように見えたものを(サ)~(タ)から3つ選び、記号で答えなさい。

2 実験2で、加熱して初めてにおいが感じられたものを(サ)~(タ)から1つ選び記号で答えなさい。

3 (サ)~(タ)の調味料はどのように作られていますか。最も適当なものを次の①~③からそれぞれ1つ選び、番号で答えなさい。

① 目に見えない生き物のはたらきを利用して作られている。
② 生き物のからだをしぼったり、煮詰めたりして作られている。
③ 生き物のはたらきを利用せずに作られている。


キッチンに入り慣れていれば、まあ、それほど難しいという問題ではないでしょうが、普通部はたまに、この手の問題を出してくれます。

1はお湯に溶かしたときにかわらないもの、ということですから、白砂糖、食卓塩、米酢を選びます。

醤油、みそ、ごま油とも色がついていますから、お湯にいれたらすぐ色が変わりますね。

2はちょっと難しい。
普段からにおいがしないものを考えると、白砂糖か食卓塩になります。で、砂糖は煮詰めていけばカラメルになるのでにおいがわかりますが、食卓塩はにおいがしません。
したがって答えは白砂糖。

3 白砂糖はさとうきびやてんさいを原料とするので②。食卓塩は③。米酢、みそ、醤油は発酵の過程を使っているので①、ごま油はとうぜんごまを絞るので②。

ということになります。

たまには男の子といえども、キッチンでいっしょにお料理をするのも大事なことですね。

(解答)
1 サ、シ、ス
2 サ
3 サ ② シ ③ ス ① セ ① ソ ① タ ②

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苦しんだ分だけよくわかる
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子どもの受験ですから
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食塩水の問題

普通部の19年度の問題。


2つのビーカーA、Bに濃さの違う食塩水がそれぞれ入っています。AとBの食塩水の重さの比は2:3です。
次の2つの作業を順に1回ずつ行います。
 ・Aの食塩水の半分をBに移して、よくかき混ぜます。
 ・Bの食塩水の半分をAに移して、よくかき混ぜます。
2つの作業後のA、Bの食塩水の濃さの比は4:5になります。
ここで、食塩水の濃さとは、食塩水の重さをもとにした食塩の重さの割合のことです。
(1)2つの作業後の、AとBの食塩水の重さの比を求めなさい。
(2)最初のAの食塩水の濃さが4%のとき、最初のBの食塩水の濃さを求めなさい。


問題をよく読まないとひっかかるかもしれません。

(1)

最初にAとBには2と3の食塩水があったのです。
そのうちAから半分Bにいったのだからこの段階では、
Aには1 Bには4の食塩があります。今度はBから半分Aにもどるので、
Aには3 Bには2の食塩があります。
したがって最初の答えは
3:2です。

(答え)3:2

(2)
3:2の食塩水の重さに対して濃さの比は4:5です。

したがって食塩の重さの比は

A:B=3×4:2×5=6:5

これをもどします。

6:5→1:10→2:9

が最初の食塩水の重さの比になります。

したがって濃さの比は

2/2:9/3=1:3になるので

したがって最初のAの濃さが4%であれば

4×3=12%がBの濃さになります。

(答え)12%

食塩の重さ、食塩水の重さ、濃さと比が3種類ありますので、十分に注意して解いてください。

慶應進学オンラインより

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お盆休みに苦手をひとつ克服する
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秋の模擬試験のスケジュールを考える
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